シンガポール

農業の可能性を広げる日本の最先端技術がシンガポールに上陸


≪地元メディアの反応≫
今年8月からシンガポールで行われる日本の農業プロジェクトによって、最低限の土地や水の量で美味しいトマトを栽培することができるようになると期待されている。
プロジェクト責任者である、38歳の飯村一樹氏は「日本での実験に基づき、最新技術を駆使することで順調にトマトを栽培できるだろう。」と語った。

飯村氏はシンガポールの野菜があまり美味しくないと言われていることに着目し、市場の調査を始めた。去年シンガポールを視察し、その土地や気候に合った適切なプロジェクトを選別したことで「必ず成功を収められるだろう。」とその自信を語った。

彼らがシンガポールで栽培するトマトの糖度は高く、日本では“フルーツトマト”と呼ばれているものだ。通常トマトの糖度は5%程度であるが、このトマトの糖度は8%以上もあるという。シンガポール ニュースメディア現在、飯村氏は日本早稲田大学の教授である森有一氏が開発した“ヒドロゲル”を使い、神奈川県伊勢原市でトマトを栽培している。

ヒドロゲルは水分を吸収し、ゲルの形態によって水分を逃がさないようにする働きをもっている。森氏はこのヒドロゲルを用いた透明フィルムを開発した。
トマトの栽培にこの透明フィルムを使用することよって、貯められた水分と栄養分を無駄なく植物が吸収することができる。この最新の栽培技術は、2009年にドバイ付近の砂漠でトマトを栽培するためにも使用されたほどだ。

更にこのフィルムには小さな穴が無数にあり、病原菌等を通さないサイズに工夫がなされている。水分や栄養分はその穴を通り抜けることができるため、植物に害を及ぼす病気だけを予防できる。

シンガポールでのプロジェクトは1,200㎡の敷地に温室を設立し、今年9月から栽培を開始する。ミニトマトの最初の収穫は約2ヵ月後の見込みである。
飯村氏は年間7tのトマトを生産し、全てシンガポール市場で販売することを目標としている。今後、栽培面積を1~2ha拡大し、キュウリやメロン、その他の野菜にも挑戦していく考えだ。

元々、飯村氏は東京のファッションタウンである表参道地区で屋上ファームを運営していた。それが多くの海外観光客やビジネスマン、政府関係者からの注目を集めシンガポール参入のきっかけとなったようだ。

飯村氏は今回のプロジェクトだけでなく、農家のネットワークを利用して日本の農作物をシンガポールへ輸出しようと考えている。彼は「シンガポール市場には将来性がある。多くの日本料理店や日本コミュニティが築かれていて、増え続ける富裕層は高品質で安全な日本食品を好む。」と述べた。

現在、シンガポールは90%以上の食料を海外から輸入している。日本の最先端技術と高い栽培技術はシンガポールにどのような変化をもたらしてくれるだろうか。我々の食文化に新たな風を吹き込むきっかけとなるかもしれない。(Straits Times)


			
		

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