≪地元メディアの反応≫
ミツカンホールディングスは日用品・食品世界大手のユニリーバ社からパスタソースの2ブランドを21.5億ドル(2,150億円)で買収すると発表した。RAGUとBertolliは約6億ドル(600億円)以上の年間売上高を持つ。
今回の買収にはケンタッキー州・オーエンズボロの醤油加工工場、及びカリフォルニア州・ストックトンにあるトマト加工設備が含まれていて6月には契約が完了する予定だ。
アメリカの人気パスタソースであるRAGUは1937年にニューヨークで設立、半世紀後にユニリーバに買収されている。
「買収契約は北アメリカでポートフォリオを再形成の最終段階の1を表す」と北アメリカ・ユニリーバ社長キース氏は語った。
ユーロモニターインターナショナルによるとRAGUは現在、市場の4分の1程度とアメリカで最も売れているパスタソースと発表しているが、パスタソース事業を戦略的に見直す事となった。
ユニリーバは昨年、サラダドレッシングブランドの「ウィッシュボーン」を米冷凍食品メーカーのピナクル・フーズに5億8,000万ドルで、ピーナツバターブランドの「スキッピー」を米食肉加工大手ホーメル・フーズに7億ドルでそれぞれ売却し、今年に入ってからは金額は非公開だが欧州の食肉事業を売却している。
一方でユニリーバ社は、最高経営責任者・ポール氏を中心とし、利益率の高いパーソナルケアブランドに集中するために事業も再形成している。
パーソナルケア製品は49.8億ユーロ(682億ドル)、年間売上高の36%を占めポール氏が最高経営責任者(CEO)に就任する前年の2008年の約27%から拡大している。
「我々はより収益性が高い分野で急速な成長を遂げている」とポール氏は、今年初めのインタビューで語った。
ミツカンホールディングスは15箇所の製造工場とアメリカでの事業成功という野望を持ち、その歴史は30年になる日本企業だ。
愛知県半田市に本社を構えるミツカンホールディングスはRAGUとBertolliの買収により海外での売上高は約34%から50%以上を占めることがわかった。
しかし、多くの他の日本企業と同様にミツカンホールディングスも日本国内の人口減少によって引き起こされる問題を克服しようと海外での成長を追求するあまり、国内市場の更なる衰退も懸念点ではないだろうか。
ミツカンホールディングスは2011年にグリーンチリ・ハラペーニョ(唐辛子の一種)の加工会社、ボーダーフーズ社を買収し、2005年には米国家庭用クッキングワインでシェアNo.1のホランド・ハウスブランドを取得している。
海外での過去10年間の日本食ブームを背面に、210年の歴史を持つミツカンホールディングスの主力の製品である米酢は、国際的な需要を受け急速な成長を遂げている。
「RAGUとの契約は、私たちのグローバルな拡大戦略において重要な起点を表した」とミツカンホールディングスの会長兼最高経営責任者(CEO)中野和英は述べている。
また、日本の企業のサントリーホールディングスは約136億ドル(約1兆4,000億円)で米ウイスキー大手ビーム社を買収することを発表した。日本企業がRAGUに続いて、もう一つ大きな買収をする事となる。
アメリカのアナリストや銀行家は「日本企業は多額の現金を備えて、買収の機会を探し続けている」と話す。今後も日本企業のアメリカ企業の買収は続いていくのだろう。
(SOURCE:The Wall Street Journal 「trans by China」)