≪地元メディアの反応≫
現在建設中のホーチミン市地下鉄1号線のBen Thanh Market(ベンタイン市場・写真)駅構内に、日本企業が商業施設を開発する計画であることが明らかになった。計画はホーチミン市「People’s Committee(人民委員会)」のNguyen Huu Tin副委員長と日本の「Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism (国土交通省)」のKisaburo Ishii(石井喜三郎)審議官との会見の席で討議されたということだ。
石井氏によると「Toshin Development Co.,Ltd.(東神開発)」が開発に非常に熱心であり、投資プロセスを加速したいと考えているようで、会見の席では商業施設の模型まで示されたという。東神開発はすでに人民委員会に対し、仮称「The Ben Thanh Commercial Centre(ベンタイン・コマーシャルセンター)」の設計案を提出したようだ。
東神開発は日本の大手百貨店チェーン「Takashimaya(高島屋)」の子会社で、グループのショッピングセンターの開発・運営に50年以上の歴史を持つ、この分野での日本のパイオニア企業である。海外ではシンガポール高島屋の運営も担当している。
石井氏は、地下商業施設は「ホーチミン市開発の記念碑というだけでなく、そこから大きな利益が生まれる重要なプロジェクトで、建設コストは10~11年間で償却できる」との見込みを示した。さらに日本政府も開発に対してOfficial Development Assistance(ODA:政府開発援助)による資金供与の可能性を検討できると述べた。
提案されているショッピングセンター開発計画には日本大使館も支援に回っている。大使館経済担当のKatsuro Nagai氏は、人民委員会のレセプションで、地下鉄建設工事と同時並行的に建設することの利点として「経済効率が上がり、環境への影響も軽減することができる」ことを挙げ、ホーチミン市の支持を訴えた。
ベンタイン市場とベトナム最大のテーマパーク「Suoi Tien Theme Park(スイティエン・テーマパーク)」を結ぶホーチミン市初の地下鉄1号線は、総工費24億9,000万米ドル(約3,000億円)で、うち22億ドルは日本からの円借款、残り2億9,000万ドルが市政府の負担で賄われる予定だ。
Le Hoang Quan人民委員会委員長も、「2020年地下鉄開通実現に全力を注ぐ」としながらも、地下構内の開発業者選定には日本企業を優先すると明言している。
100年の歴史を持ち、伝統的建設様式の巨大なベンタイン市場は、長く市民の台所、憩いの場として愛され、観光名所としても賑わいを見せている。待望の地下鉄が開通するときには、その伝統的市場の駅構内に日本企業による現代的な我が国初の地下ショッピングセンターが共存することになりそうだ。
(SOURCE:Viet Nam News「trans by shimamori 」)