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低迷するロシア市場の影響で輸出不振のトヨタ・トルコが工場の生産能力拡大を進める理由は?


≪地元メディアの反応≫

世界最大の自動車メーカー「Toyota Motor Corporation(トヨタ自動車)」の欧州事業を統括する「Toyota Motor Europe(トヨタ・ヨーロッパ)」のトルコの生産子会社「Toyota Motor Manufacturing Turkey Inc.(トヨタ・トルコ)」の事業成績がロシア自動車市場の低迷を受け、上半期輸出量30%減と大幅に落ち込んだことが分かった。

 

トルコ 海外進出

 

トヨタ・トルコは2013年にそれまでEU(欧州連合)向け輸出拠点としてきたトルコ西部Adapazari(アダパザル)の工場(写真)に約15,000万ユーロ(約16,500万ドル)を投じて年間生産能力を倍以上の15万台に引上げる拡張を行い、7月からは「カローラ」の生産をスタート、2014年にはフル稼働で輸出先を旧ソ連圏や中東・北アフリカに広げ、輸出先は50か国に達していた。

 

8日の取材に答えたトヨタ・トルコOrhan Ozer氏は「トルコの今年の総販売台数はおよそ12万台で、売上では前年比9%の低下となるだろう」と見込んでいる。トヨタは上半期の売上高は明らかにしていないが、生産台数は14%減少したということだ。

 

今年上半期の輸出は深刻な落ち込みを見せている。これはロシア通貨ルーブル安の影響が大きく、ロシアはカローラ販売のトップマーケットだけに生産台数の25%をロシアで販売する予定でいたのだが、現状では10%にも満たない状態だ。

 

原油価格の下落とウクライナ危機をめぐる西側の経済制裁によるロシアの景気低迷は、ロシアの自動車市場を大きく冷え込ませた。2015年上半期の新車販売台数は155万台で対前年同期比36%減となっている。

 

しかしトヨタ・トルコは「ロシアの減少分を埋め合わせるためトルコ、ポーランド、イスラエル、英国などで販売拡大努力を行い、今年の総販売台数を昨年実績13万台には及ばないが、12万台まではもっていきたい」ということだ。

 

これまではイスラエルが最大顧客で、次いでロシア、エジプト、フランス、スペインの順だった。工場は通常生産台数の約90%を輸出しているが、今年に限っては生産台数の73%にとどまっている。

 

しかしトヨタは業績低下にもかかわらず、トルコでの生産開始から20周年に当たる2014年の「5億ドル投資プラン」に従って、アダパザルの工場で輸出向け生産台数増加のために年間生産能力を15万台からさらに25万台に増強する計画を進めている。

 

トヨタが業績低下の中で拡張プランを継続する裏には、隣国イランでの自動車販売に対する並々ならぬ関心が関係しているかもしれない。イランは西側諸国による経済制裁の解除を狙って、イランが進める核開発計画の縮小・抑制について2013年の暫定合意以後、米国・EU主要国などとの協議を続けてきたが、714日にはついに最終合意に達した。

 

ロシアの落込みは、一方で好調な国内とヨーロッパ向け輸出によってある程度の損失の相殺が期待されている。イランの経済制裁が解除されることになれば、真っ先にイラン市場に参入できるカーメーカーはトヨタ・トルコということになるだろう。

 

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