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日本の大手通信会社ソフトバンク、Arm社を約3.3兆円で買収


≪地元メディアの反応≫

日本の通信会社ソフトバンクは、次のパラダイム・シフトであるIoT事業(モノのインターネット)でリーダーになる手助けになるだろうと見込み、約3.3兆円でArm社を買収する賭けに出た。


イギリス 海外進出

 

日本の通信会社グループが買収したArm社は、25年前に設立され約4,000人の従業員が働いている。この買収はヨーロッパのテクノロジービジネスにおいて最大規模の案件となるだろう。

 

最初の交渉からちょうど2週間後、ソフトバンクは、Arm1株当たり買収価格17ポンドで、15日の株価終値より43%多いプレミアムを乗せた。Arm社の株は16.78ポンドまで上昇した。

 

通信グループのトップである孫正義氏は、EUに残留するかどうか国民投票が行われた数週間後、イギリス経済を信じて投資する時だ、とロンドンの記者に語っている。

 

「イギリス国民がEU脱退を決めた後、大きな賭けに出た最初の人となった。投資について語ることは簡単だ。準備は万端だからだ。これは大きな賭けになるだろう。」と孫氏は述べた。

 

Arm社のビジネスは、AppleSamsungを含むハードウェアメーカーへ技術提供をしており、各デバイスへの使用料を受け取り、利益を出している。

 

昨年は、前年度よりも30億多い150億のチップを出荷した。チップの約半分はモバイルデバイスに使用されており、Arm社はネットワーク機器、IoT事業において急成長をみせている。

 

昨年の6月、孫氏は11,700万ドルのシリコンバレーに建てた彼の家で、Arm社最高責任者のサイモン・シガース氏と初めて会った。

 

孫氏は、イギリスの首相 テリーザ・メイ氏と財務大臣 フィリップ・ハモンド氏と電話会談を実施。Arm社本部をイギリスに残し、今後5年間でイギリス拠点に在籍するスタッフを2倍に増やす方針を確認した。

 

今後外国企業の買収審査がより難しくなるだろうと発表したにも関わらず、首相報道官は、今回の買収はイギリスの国益にかなうと述べ、歓迎する意向を示した。

 

The Institute of Economic Affairsによると、メイ首相は「経済国家主義は、危険ではあるが繁栄ももたらすだろう。」と述べた。

 

孫氏は、イギリス当局がArm社の買収計画を温かく歓迎してくれたと語ったが、Brexit(ブレグジット)の為に決断出来なかったと付け加えた。

 

「次の大きなパラダイム・シフトになると感じている。」と孫氏は述べ、モノのインターネットの成長に期待していると言及した。 「これは、人類と全ての製品にとって大きな機会となるだろう。」

 

6/23の国民投票の後、イギリス通貨は日本円と比較すると約30%急落した状態になり、日本円はポンドより11%上昇。しかし、Arm社のシェアが16.7%上昇し、相殺された。

 

孫氏は、アメリカ4番手の携帯会社Sprintと、日本で最も人気のあるインターネット検索エンジンを含む680億ドルの価値がある巨大なメディア企業を保有しており、ソフトバンクを世界的な通信会社へと成長させた。

 

孫氏は「変わったアイデア」が好きだと公言しているが、そのアイデアを元に数々の投資案件を成功させ、多額の軍資金を獲得してきた。

 

2000年にAlibaba社と取引した2,000万ドルの投資案件は、650億ドルの価値までになった。また、2006年にボーダフォン日本事業を150億ドルで買収し、日本で第3位の携帯キャリアになった。

 

Dealogicのデータによると、ソフトバンクグループは過去10年で、およそ820 億の価値がある140もの取引を行った。

 

取引内容は、何兆円もの価値がある案件から、事業を始めたばかりの殆ど知られていなかった企業まで多岐にわたる。(中国配車サービス Didi ChuxingUberなど)

 

Arm社との取引は、孫氏が主任交渉役とGoogle幹部のニケシュ・アローラ氏を解任した後、突如開始された。

 

Arm社は世界的半導体チップメーカー Intel’のライバルになるだろうと言われていたが、スマートフォンブームを活かせることが出来なかった。

Intel’社は業界で最も成功した企業だと、FTSE 100から評価されている。

 

Arm社の技術は、1980年代にイギリスのコンピューターメーカー Acornで発展していった。

 

そして、Appleの大きな支援を受け別会社が設立、彼らの技術はAppleが製造する初期のモバイルデバイスに活用された。

 

Arm社の創始者ヘルマン・ハウザーは、今回のソフトバンク社による買収に関して、「悲しく、思わぬ影響だ」と述べた。

 

Arm社の将来は、イギリス政府によって決定される可能性があった。今まさに、日本によって決定が下されるだろう。」

 

今回の取引については、The Raine GroupRobey Warshaw氏とみずほ証券がソフトバンクに助言をおこなっている。また、Arm社側は、GoldmanLazardUBSBarclaysからアドバイスを受けているようだ。

  

SOURCETHE FINANCIAL TIMES by Mimi


			
		

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