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武田薬品が米国の糖尿病治療薬訴訟で24億ドルの和解金支払いに同意、上場以来初の赤字転落へ


≪地元メディアの反応≫

日本最大の製薬会社「Takeda Pharmaceutical Co.,Ltd.(武田薬品工業)」は428日、同社の糖尿病治療薬「Actos(アクトス)」の発ガン性を巡る訴訟で、原告の患者・家族数千人に対し24億ドル(約2,880億円)を支払い、和解することに合意した。

 

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武田薬品は米国内で2型糖尿病治療に使われたアクトスの副作用で膀胱ガンになったなどとする9,000件の製造物責任訴訟を受けており、原告側は武田が「アクトス」の発癌性リスクについて告知する義務を怠ったと主張している。

 

29日付の声明で武田薬品は「アクトスが良好なリスク/ベネフィットプロファイル(危険度と受益度の特性)を有する2型糖尿病治療剤であるという考えに変わりはない」と原告側の主張する法的責任を認めてはいないが、「和解により、財務上の不確実性が低減されるとともに、大多数のアクトス製造物責任訴訟の解決に確かな道筋が拓かれる。当社は治療薬の開発に注力することが可能となる」と和解選択の理由を説明した。

 

和解は、現在の原告の95%が受入れを選択した場合に有効となり、その割合に達した際に、武田薬品23.7億米ドルを和解基金に支払う。97%以上の原告が受入れた場合、和解基金への支払金額は24億米ドル。

 

武田薬品は、和解金や他の関連訴訟費用として、20153月期第4四半期に27億米ドル(約3,240億円)を引当計上することに伴い、同期の連結業績見通しを下方修正した。損益予想は従来の650億円の黒字から1,450億円の赤字となる。武田薬品が当期赤字に陥るのは1949年の上場以来初めて。

 

U.S. Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)」は2011年、「アクトスを1年以上長期投与した患者の膀胱ガンのリスクが40%増加する」として、注意書のラベルに「発ガン性リスク」の明示を加えるよう命じた経緯があるが、最終的には、統計学的に有意な増加は認められないとの結果が出た。1999年に発売されたアクトスは現在米国、日本、欧州、カナダ、オーストラリア、ブラジル、ロシアなど95ヶ国で承認されている。

 

訴訟長期化に伴う財務リスクや企業イメージの低下を避けるため和解を決めた武田薬品だが、アクトスの販売は米国も含めて今後も続けるという。アクトスを薦められた時に難しい選択を迫られることになる糖尿病患者は、和解による決着を複雑な心境で受け止めていることだろう。

 

SOURCEAssociated Presstrans by shimamori 」)


			
		

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