アメリカ

生産拠点の移転でコストダウンを狙うトヨタ


 ≪地元メディアの反応≫

長きに渡る不景気や津波などによって日本経済が低迷していることを受け、日本の大手自動車メーカーであるトヨタ自動車株式会社(以下:トヨタ自動車)は、アメリカで生産を行なうのが安全であると判断し、生産拠点を移転することを決めた。

今後トヨタ自動車は、レクサスESの生産を日本からアメリカのケンタッキー州ジョージタウンに移す計画である。2015年からの生産開始に向け準備を進めていくと発表した。ケンタッキー州の大規模工場は、既にレクサスに似たモデルの自動車を製造している。

ここで生産されるレクサスはアメリカ市場に流通することになる。生産地と販売地が同一であることで、コストや収益を計算しやすくなり、また為替レート変動のリスクも減らせるからである。
アメリカ ニュースメディア「レクサスシリーズはアメリカで生まれた。我々のブランドが生まれた場所に戻り、アメリカの顧客のために生産・販売に注力していくことは当然の流れと言えるだろう。」とトヨタ自動車の社長である豊田章男氏は述べた。

今回の移転に伴い、ケンタッキー州はトヨタ自動車に約1.5億ドルもの政策減税を行うという。トヨタ自動車が減税対象となり、また利益率が下がるリスクのある円高からも開放されるというのは、競合の自動車メーカーにとって重大なニュースとなった。

同社が、レクサスの生産工場を日本からカナダに移転したのは10年前だ。アメリカで最も売れるレクサスシリーズのRXクロスオーバーSUVを生産するためであった。当初、トヨタ自動車はその移転にあまり積極的な考えではなかったという。

トヨタ自動車は1980年代後半からカナダで従業員を育成してきたため、作業の質は問題ではなかった。しかし、日本で生産を行なうのと同じように良質な自動車部品を、北米で仕入れることができるかという不安があったためである。

ケンタッキー州ジョージタウンの工場は1986年から自動車部品―エンジン、軸、ステアリング部品―を製造してきたため、部品の仕入れに関して申し分ない。この工場はトヨタ自動車の最大の海外工場である。

ケンタッキー州知事のスティーブ・ベシア氏は豊田氏に感謝を述べる。
「最もよく売れているレクサスシリーズをケンタッキー州で生産するというのは、トヨタ自動車が我々を信頼している証であり大変光栄である。我々はトヨタ自動車に対する専念とプライドをよく理解している。その信頼に応えるため、熟練の労働者と高品質の部品を提供したい。」と語った。

トヨタ自動車は、アメリカでより強い足場を作るために、これまでの概念を捨てて挑戦を始める。生産拠点の移転という大きな決断によって、アメリカでレクサスシリーズが更に普及する可能性は十分にあるといえるだろう。(USA Today)


			
		

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