ミャンマー

日立産機がミャンマー大手メーカーと合弁会社設立、ミャンマー国産変圧器に輸出への期待も


≪地元メディアの反応≫

日本最大の総合電機メーカー「Hitachi, Ltd.(日立製作所)」グループの「Hitachi Industrial Equipment Systems Co., Ltd.HIES:日立産機システム)」と我が国の大手送配電機器メーカー「Soe Electric & Machinery Co., Ltd.SEM)」(写真)は77日にヤンゴンで行われた記者会見で、両社のパートナーシップによりミャンマー国内の電力・配電用変圧器事業を行う合弁企業設立で合意したことを発表した。

 

ミャンマー 世界進出

 

新会社の名称は「Hitachi Soe Electric & Machinery Co., Ltd.(日立SEM)」。新会社はまず国家計画経済開発省・投資企業管理局の「Myanmar Investment CommissionMIC:ミャンマー投資委員会)」に投資許可を申請し、変圧器製造工場を建設、20163月末には営業開始を目指す。資本金は4,500万米ドルで出資比率は日立51%、SEM49%の予定。

 

2002年に設立され、産業用電気機械製品の製造・販売・保守を行う日立産機システムは日立製作所の100%子会社。変圧器事業では日本で高いシェアを有し、海外展開も進めている。

 

1993年創業のSEM社は我が国で唯一の配電用変圧器メーカーで、電力・配電用変圧器を中心に製造・販売・保守を行っている。日立産機とは2012年以来、アモルファス合金を使用して配電効率を高めたアモルファス変圧器に関する技術提携関係にある。

 

日立産機システムのMasakazu Aoki(青木優和)社長は「ミャンマーでは近年の経済発展で電力需要が急増しており、送配電網が拡大するとともに高品質な変圧器に対する需要が高まっています」と業界参入の背景を説明した。

 

SEM社のU Kyaw Min Htunマネージングディレクターは「新会社が販売する製品は100%国内で生産し、そのため約400人を雇用します。我々は地元の労働者を雇用し、若者の技能向上を助けます」と我が国の優先事項である雇用創出への貢献を強調した。

 

U Kyaw Min Htun氏はまた「2013年まで行っていたベトナム輸出は関税のため中断せざるを得ませんでした。新会社は1年以内に輸出再開を目指します」と、製品の輸出にも意欲を示した。SEM社はかつてASEAN域内の配電業界向けに変圧器を輸出していたが、高い関税を課せられたために輸出を断念した経緯がある。

 

青木社長は「輸出に関してはまずラオス、カンボジア、ベトナムのような近隣諸国から始めてその後エリアを拡大していきたい」と述べた。

 

最近の我が国の通貨Kyat(チャット)安傾向は輸出には追い風となる。中央銀行の公定レートによればチャットは年初と比較すると米ドルに対して9%下落した。実勢レートでは17%の下落だ。

 

我が国の輸出入量は2011年以降増加を続けているが、一方で貿易赤字の急増という問題も抱えている。2012会計年度には1億米ドルの黒字だったものが、2013年度には9,100万ドルの赤字に転落、2014年度には赤字額は一気に26億ドルに膨らんだ。

 

2015年度に貿易赤字は前年比88%増の46億米ドルに、2016年度第1四半期だけで輸出入額62億ドルで、その時点で赤字はすでに10億ドルを超えると予測されている。

 

Ministry of Commerce(商務省)のU Maung Aung顧問は、「重点産業の発展促進を支援する国づくりという国家目標に輸出戦略も同調させる必要がある」と指摘している。

 

日立産機との合弁によって、これまで多くを輸入に頼っていた電力用変圧器の国産化率向上とASEAN諸国への輸出事業再開、その結果としての貿易赤字削減効果が期待される中、Aung顧問の言うように、財務省の課税方針が政府の輸出拡大戦略に同調できるかどうかがその成否に大きく影響することになるだろう。

 

SOURCEThe Myanmar Timestrans by shimamori 」)


			
		

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