インドネシア

インドネシアで白熱する日本と欧米との自動車市場競争


 ≪地元メディアの反応≫

世界各国の大手自動車メーカーが、こぞってインドネシア市場の参入を始めたことにより、三輪車(three-wheeler)や日本車と共にベントレーやマクラーレンがジャカルタの道路を走る光景が一般的になるかもしれない。

欧州自動車工業会によると、欧州における新車登録率は年間8.7%減少し続けており、1月には1990年以来の最低水準に達した。
それに対しインドネシアの自動車市場は2012年、25%もの増加をみせた。生産台数は110万台、販売台数は140万台以上という記録を作り、東南アジア最大の自動車市場であるタイに及ぶ勢いである。インドネシア ニュースメディア
自国や近隣諸国での販売不振を少なからず経験した欧米企業たちは、著しい経済発展をみせる東南アジア諸国への参入によって再起を図ろうとしている。
彼らは特に、自らの成長の為には出費をいとわない中~上流階級や、趣味として自動車を購入するような富裕層をターゲットとしている。

しかし相変わらず日本の自動車メーカーであるトヨタ、日産などの人気は全く衰えていない。それはニーズに対する的確な自動車開発によるもので、ファミリー向けでありながら十分な強さと悪い運転条件にも対処できる優れた性能が人気の理由と言える。

ジャカルタ中心部で自動車を観察すると、一台ごとにトヨタやダイハツが目に付く。これらのブランドはインドネシアの自動車市場の50%を占め、また三菱と日産を加えると日本メーカーの自動車はインドネシア市場の約95%を占めるという。

トヨタの成功は1970年に始まり、その時に生産されたファミリー向け自動車のキジャンはインドネシアで大人気となった。2003年に生産されたアバンザとダイハツセニアユーティリティビークルは、2万ドル未満の低価格で再び成功している。

これに対し、欧米の自動車メーカーは「インドネシアでは輸入車や高級車に対する税率が高く、また自由貿易協定の無い欧米企業は日本企業に遅れを取っている。対して日本企業は関税や貿易協定において有利な立場にあると言える。また日本企業に比べ、欧米企業はより高い安全基準を求められている」と不満を述べている。

メルセデスベンツ、BMW、シボレーのような完成までに時間を要するブランドは、高い税率から逃れるため、インドネシアでの組み立てに取り組んでいる。インドネシア国内で組み立てを行なった場合10~15%の税率で済むが、完成品をインドネシアへ送る場合40%も課税されるためである。

フォルクスワーゲンは今後4年以内に組立工場をインドネシアに建設することを計画している。シボレーはジャカルタで休止していた工場を再稼働させた。インドネシア市場向けに年間4,000台の車を生産する予定だ。

また、欧米の自動車メーカーは日本と異なり、積極的に富裕層の市場シェアを求めている。現在BMWとフォルクスワーゲンは価格をいとわない客層に向けた高級車を導入する方針だ。
市場のわずか1%であるが、インドネシアの富裕層増加に従い高級車やスポーツカーをよく見かけるようになってきた。特にジャカルタでは、そう珍しいものでは無くなってきた。

今年5月に、英国の自動車メーカーであるマクラーレンはベントレーとジャガーのショールームの隣にある、ジャカルタのショッピングセンター内で初のショールームを立ち上げる予定である。
だが、マクラーレンのアジア太平洋地域の理事Ian Gorsuch氏は「我が社にとって、最も大切な問題はインドネシアのビジネスマンがマクラーレンの自動車を購入したいと感じるかどうかである。何故ならばラッシュアワーでこの車のすべての性能を体感することはできないからだ。」と、AFP通信社に対し自社製品の懸念点を明かした。

現在シェアを占める日本の自動車メーカーと、これから参入を強化する欧米メーカーとの競争はまだ始まったばかりである。インドネシア市場で勝ち残ってゆくのは、果たしてどの国の企業であろうか。(japantoday)


			
		

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