中国

円安は中国事業を継続する日本家電メーカーにどれだけ影響を与えたのか


 ≪地元メディアの反応≫

円安の影響で一部の日本家電メーカーは、生産拠点を中国から日本に戻すことを検討しているようだ。
ニュースによるとパナソニック株式会社は、海外における冷蔵庫や洗濯機などの白物家電の製造を再び日本で行なうことを検討している。

では、その他の日本企業たちはどう考えているのだろうか。
経済特区に指定され中国屈指の世界都市である深セン市に拠点を構える日本企業、株式会社東芝(以下:東芝)、富士ゼロックス株式会社(以下:富士ゼロックス)、オムロン株式会社(以下:オムロン)の3社とインタビューをすることができた。
中国 海外進出東芝の中国支社PRマネージャーである胡炜氏は、商業新聞社からのインタビューを受けた際に「東芝は同じ中国国内であっても状況に合わせたグローバルソージングを採用しているため、円安の影響はそれほど大きくない。東芝は変わらず中国事業を続け、また拡大を図っていく。」と述べた。
そして「もちろん円安は東芝のビジネスにも影響を与えるが、製品数が多く複雑でありグローバルソージングを実施しているので、マイナスの影響もプラスの影響もどちらも受けることになる。」と、胡炜氏は付け加えた。

2011年の円高により東芝は売上に大きな影響を受けた。2012年度、同社の全世界での売上は5兆8,003億円に上り、2011年に比べて3,000億円も減少した。しかし、純利益は増えて775億円に達したという。この報告から見れば、円安の影響は想像するほどの大きさではないと言えるだろう。

東芝は中国の深セン市に参入してから7年が経つ。東芝泰格信息系統(深セン)有限公司の総経理である須毛原勲氏によると、現在、複合機の売上比率はアメリカが約29%、ヨーロッパが22%、日本が24%、中国が11%、そして他のアジア諸国が14%であるという。この数値から見て、円安の影響はさほど受けないであろうことが分かる。

円安だけでなく中国の人件費が年々上昇する問題もあるが、東芝は中国事業についてどう評価しているのだろうか。「我々は深セン市での生産を上手く運用できていると感じている。複合機生産において、東芝が誇る世界最大の工場に成長した。」と同社は語る。
また、製品に使用する部品も日本から調達するものは少なく、円安の影響は限りがあるのだという。

深セン市の人件費は年々上昇し、5年前の最低賃金が約700元に対し現在の最低賃金は1600元である。しかし東芝は深セン市の周辺の珠江デルタ地域が、世界有数のプリンタ生産地域であり、生産や流通に適した環境が構築されているという。
ベトナムなどの人件費が安い地域はいくつも存在するが、条件や部品調達の難しさなどが大きな問題となるようだ。

円安による影響について、富士ゼロックスの中国支社である富士施楽高科技(深セン)有限公司の責任者は「現在、どの企業もグローバル化戦略を図り、市場もグローバル化が進んでいるため円安による影響は比較的小さい。我々は中国で70%、日本で20%を仕入れ、日本は販売市場の25%である。それをドルで決済するため、円安は富士ゼロックスに対して大きく影響しない。」と語る。

一方で、オムロンは「この円安のタイミングを見計らって日本からいくつかの設備を仕入れた。全て円で決済を行ない、今回は円安の恩恵を受けることができた。」と述べた。

このインタビューを終え、部品や設備を日本から仕入れたことで円安の良い影響を受けることができた企業もいたようだが、殆どの日本企業には影響が無いように感じた。
今回スポットライトを当てた企業たちが特に積極的に行なう“グローバル化”は、結果的に彼らの中国事業の存続に大きく貢献することになったと言えるだろう。(Sina)


			
		

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