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インド
株価上昇で決断か?第一三共がインド製薬大手の持株売却でインド撤退へ
≪地元メディアの反応≫
日本の製薬大手「Daiichi Sankyo Co., Ltd.(第一三共)」は4月20日、保有する我が国最大の製薬会社「Sun Pharmaceutical Industries Ltd.(サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ)」の総額36億ドル相当の株式を売却することを決めたと発表した。
第一三共は2008年、世界的なジェネリック医薬品の需要増を見越して、我が国のジェネリック医薬品大手「Ranbaxy Laboratories Ltd.(ランバクシー・ラボラトリーズ)」を46億米ドルで買収。しかしその直後、「U.S. Food and Drug Administration (FDA:米食品医薬品局)」からランバクシー社工場の衛生管理問題を理由に対米輸出停止措置を受け、事業は当初からつまずいてしまった。
2014年4月、ムンバイを本拠とする我が国最大の製薬会社であるサン・ファーマ社は、第一三共からランバクシー社を32億米ドルで買収し、第一三共は新サン・ファーマ社の株式の8.9%に相当する約2億1,500万株を取得することで合意した。
ランバクシー社をサン・ファーマ社に売却した時点で第一三共のインドへの投資価値はほぼ半減している。米国FDA(食品医薬品局)から制裁措置を受けたことの影響でランバクシー社の株価が急落したためだ。
サン・ファーマ社の株式を手放せばインドでの基盤を失うことになり、決断は7年にわたるインド市場の事業から撤退を想定したものとみられる。第一三共は声明で「企業価値向上の観点から、サン・ファーマ株式の取扱いを検討し、所有株式の全部または一部の売却を決定した」と述べるのみで、売却の理由は説明していない。
第一三共の保有するサン・ファーマ社の株式はインドの取引所内取引による売却が予定されており、売却日終値と終値から10.9%割引した価格の間の金額で取引されることになる。たとえば4月20日の終値は1,043.80ルピーだったので、取引価格帯は930~1,043.80ルピーということになり、仮に全株が最高値で売却されると、取引総額は2,244億ルピー(36億米ドル、約4,320億円)に上る計算だ。
サン・ファーマ社が先月、ランバクシー社の買収手続きを完了したことが、第一三共の売却決定の直接の要因だが、過去3か月でサン・ファーマ社の株価は20%上昇しており、売却すればランバクシー社買収劇で出した損失の一部を回収できる今が、撤退の良いタイミングであると判断したということだろう。
一方、第一三共からランバクシー社を割安値で吸収合併したサン・ファーマ社のオーナー側も株式保有率がランバクシー社吸収合併以降64%から52%に低下しており、第一三共の株売却は保有率回復のチャンスでもある。サン・ファーマ社は第一三共の保有株売却決定に対してコメントしていないが、買戻しの可能性は高いのではないか。
(SOURCE:Business Standard &Reuters「trans by shimamori 」)