≪地元メディアの反応≫
日本の巨大国有企業で国際的な郵便・物流事業を営む「Japan Post(日本郵便株式会社)」は2月18日、メルボルンに本社を置くオーストラリア最大の物流企業「Toll Holdings Ltd.」の発行済株式100%を取得し、子会社化するための手続きを開始することを決定した。買収価格は50億7,000万米ドル。

日本郵便はオーストラリア会社法に基づき、トール社の株主総会での承認、裁判所による承認、さらに外国投資関連法の担当部局からの承認等の条件を満たすことによってはじめて同社の全株式を取得できる。株主総会は5月に開催されるが、両社とも株主の承認はもちろん、手続き上の不安はないようだ。
実現すれば「Toll」社は社名を残しながら日本郵便の一部門として事業を継続する。Toll社のRay Horsburgh会長は声明で「買収が実現すれば世界のトップ5に入る物流企業が誕生する。強力なコンビが組めるだろう」と日本郵便のオファーを歓迎している。
両者間で取引が合意に達するということで、アジア太平洋圏で最大規模の物流企業であるToll社の株価は47%も上昇した。Toll社の取締役会によれば日本郵便の提示価格は1株9.04オーストラリアドル(7.06米ドル)で、これは2月17日の終値6.08オーストラリアドルに対して49%のプレミアを付けた「受け入れずにはいられない」価格だ。
日本郵便は、国際物流事業としては、2014年に仏ジオポスト及び香港レントングループとの資本・業務提携を締結し、国際宅配便サービスを開始しているが、日本国内の人口減少と国内郵便市場の縮小という環境の中で、収益力を強化するためにはさらに海外展開が必要と、M&Aによる事業拡大を検討していたようだ。
日本郵便はToll社買収を契機に、今後物流の増加が見込まれるアジアパシフィック地域を中心に新たな事業基盤を求めていくとしている。純資産が約1,150億米ドルとも言われる日本郵便だが、リスクを伴う海外事業展開には、経験豊富でアジアパシフィック地域に強いToll社は心強いパートナーとなるだろう。
(SOURCE:The Manila Times「trans by shimamori 」)