≪地元メディアの反応≫
日本のソフトバンクとシンガポールのGrabTaxi(グラブタクシー)は、12月4日ソフトバンクがグラブタクシーへ2億5000万米ドル(約298億円)を出資し、同社の筆頭株主となることに合意した。
グラブタクシーの創業者でCEOのアンソニー・タン氏は「ソフトバンクの投資を受けることで、東南アジアの交通手段を革命的に改善するという私たちの目標に向かって、これまで以上に前進することができる」と語っている。
グラブタクシーはGPS機能を利用し、一番近くにいるタクシーを簡単に配車できるサービス。2012年にマレーシアの富豪一族の出身であるタン氏が創業し、現在では東南アジア6か国(シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン)の17都市で配車予約の受付が行われている。グラブタクシーによれば、同社は東南アジア最大のネットワークを持つタクシー配車予約サービス会社で、グラブタクシーのアプリは250万件ダウンロードされており、月間ユーザー数は50万人、6万人のタクシー・ドライバーが登録している。
ソフトバンクの投資は、グラブタクシーのライバルで、世界各地にネットワークを持つ米国の「Uber(ウーバー)」が東南アジアに足場を築こうと参入し、両者の激しい競争が繰り広げられているタイミングで行われた。
昨年シンガポールに進出して営業を開始したウーバーは、グラブタクシーと同じ6か国でサービスを提供しているが、アプリのダウンロード数などの営業実績は公表していない。
さらにマレーシアとインドネシアの監督官庁では、ウーバーが未登録の一般車両を配車サービスに使用したため違法とされ、タイ当局は先週ウーバーを営業禁止としたことを示唆している。
二社以外に東南アジアでサービスを提供しているタクシー配車アプリには、インドネシアの「Blue Bird」、ドイツのIT企業の支援を受ける地元の「EasyTaxi」、ロンドンに本拠を置きシンガポールで営業する「Hailo」などがあるが、世界最大のウーバーが苦戦している時期を捉えた大型投資の発表で、ソフトバンク・インターネット&メディア・インク(SIMI)のニケシュ・アローラCEOは「東南アジアのタクシー配車予約アプリ業界のトップリーダーとなったグラブタクシーがさらにサービス拡大できるよう喜んで支援したい」と語った。
ソフトバンクはグラブタクシーへの投資に先立って、この10月にはインドのオンライン・マーケットプレイス「Snapdeal」に6億2,700万米ドルを、同じくインドのタクシー配車アプリ「Ola Cabs」を運営する「ANI Technologies」社に2億1,000万ドルをそれぞれ投資している。
今回の投資はソフトバンクにとって巨額とは言えず、ウーバーに対する勝利宣言とも取れるアローラCEOの発言には余裕さえ感じられる。
(The Star「trans by shimamori」)