マレーシア

スズキ、マレーシアの「プロトン」社に部品提供と技術支援契約。落日の国民車メーカー再生に賭ける元首相に救いの手


≪地元メディアの反応≫

我が国の国民車メーカー「Proton Holdings Bhd.(プロトン)」とプロトンの筆頭株主で自動車関連事業が主体のコングロマリット「DRB-Hicom Bhd.DRBハイコム)」は615日、日本の自動車メーカー「Suzuki Motor Corporation(スズキ自動車)」と長期的なパートナーシップを形成するための協業の覚書と技術援助契約を締結した。

 

マレーシア 海外進出

 

マレーシア元首相で現在プロトン社会長を務めているMahathir Mohamad(マハティール・モハマド)氏とDRBハイコム社のSyed Mohamad(サイド・モハマド)会長、政府からMustapha Mohamed(ムスタファ・モハメッド)貿易産業相の立会いのもとで、プロトン社Harith Abdullahハリス・アブドゥラ)CEO(最高経営責任者)、DRBハイコム社Radzaif mohamed(ラジフ・モハメッド)COO(最高執行責任者)、スズキのOsamu Suzuki(鈴木修)会長兼社長の3名による調印式を行った(写真)。

 

22年間にわたる首相時代に、国産車生産構想を謳ってプロトン社設立をバックアップしたマハティール・モハマド会長は「我々はスズキから小型車生産のテクノロジーを学ぶ必要がある」と小型車開発の経験がないプロトン社がスズキの経験と技術を利用する機会を得たことに感謝の意を伝え、同時に「実質スズキの既存車種をプロトン社が別名で販売することで、スズキのコスト削減に寄与できる」とスズキ側の利点も強調した。

 

スズキはこれまで小型車「スイフト」を現地企業に生産委託し、年約4,000台をマレーシアで販売していたが、シェアは1%未満と苦戦していた。委託先でのスズキ車生産を終了してプロトンへの部品供給に切り替えることで今後収益性アップが期待できる。

 

「スズキの強みである小型車生産の技術と経験が当社の長期生産計画を完全なものにしてくれるでしょう」と語るプロトン社のハリス・アブドゥラCEOは「提携によって、研究開発費、製造コストを大幅に削減しながら、規制をクリアし市場の要求に応えることができます」と提携を歓迎した。

提携の第一段階では、ノックダウン(KD)方式でスズキが自社モデルのエンジンや車体など車の主要部品をプロトン社に供給し、プロトン社は来年夏頃までにクアラルンプール北西部にある自社のTanjung Marimタンジュンマリム)工場で自社ブランドの小型車生産を開始、マレーシア国内で販売する予定だ。将来的には、エンジン・トランスミッションの供給を行い、プロトン社独自開発モデルへの搭載も計画していく。

 

マレーシアの2014年の自動車販売台数は約67万台で、インドネシア、タイに続く東南アジアの主要市場だ。1980年代から国民車構想を進めプロドゥア社とプロトン社が育っており、市場シェアはプロドゥアが29.3%と首位で、プロトンが17.4%。

 

1983年創業のプロトン社はかつて我が国最大の自動車メーカーで、東南アジアで唯一の完成車生産設備を持つ企業でもあった。一時は50%を超えるシェアを誇っていたが、近年次第にシェアを失い、後発のプロドゥア社に大差をつけられている。

 

ムスタファ・モハメッド貿易産業相はスズキが小型車市場を制覇しているインドで培った技術と経験を引合いに出して「スズキとの提携がプロトン社をよみがえらせるだろう」と楽観的な見通しを述べているが、プロトン社に染み付いてしまった「品質が悪い」というイメージを払拭することができるかは、元首相が言うようにスズキからどれだけ学ぶことができるかにかかっていると言えるだろう。

 

SOURCEBernamatrans by shimamori 」)


			
		

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