インド

マルチスズキがインド高級車市場に新販売店網、新車種を導入、新興中間層・富裕層取込みの戦略は?


≪地元メディアの反応≫

日本の自動車メーカー「Suzuki Motor Corporation(スズキ)」の子会社で、大衆車を中心に我が国の自動車市場で長く王者の座を維持している「Maruti Suzuki India Ltd.(マルチスズキ)」が、我が国に若者向けの新高級車種を導入することを決定した。先月新たにオープンした販売代理店のネットワークとともに、スズキの高級車市場への本格参入が始まった。

 

インド 海外進出

 

マルチスズキは先月、低価格大衆車メーカーのイメージ脱却を目指して、初の高級車販売店「Nexa」をニューデリーにオープンした。今後全土に「Nexa」のショールームをオープンし、スズキのプレミアム・モデルのみを販売する。当初は30店舗程度の規模でスタートし、今年度末までに100店舗体制とする予定だ。

 

Nexa」の販売網を通じて高級車市場に導入される最初の車は乗用車をベースにしたSUV(クロスオーバー)「S-Cross」(写真)だ。新車種のエンブレムには「Maruti Suzuki」ではなくスズキの「S」を使用し、車体後部には新モデルのロゴが飾られる。さらに新モデルのSUV、プレミアムセダン、高価格帯のコンパクトカーを順次導入するという。

 

現在「Maruti Suzuki」で生産しているAlto(アルト)、Swift(スイフト)、WagonR(ワゴンR)、Ciaz(シアズ)などにはトランク部にマルチスズキのエンブレムがついているが、R.S.Kalsiマルチスズキ販売担当ディレクターは本紙の取材に答えて「Nexa」で販売する自動車には「S」のエンブレムを採用することを明らかにした。

 

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Kalsiディレクターは「車の後部をスッキリさせるためにマルチスズキのエンブレムを外したいのです。そこにはマルチスズキと深い関係があり、名声を得ているスズキのエンブレムが似合うでしょう」と語っている。

 

マルチスズキは現在我が国でシェア47%を誇り、国内自動車市場を制覇していると言える。このシェアは「アルト」や「スイフト」のような価格が安くて性能が高いコンパクトカーの売上に支えられたものだ。

 

しかし、我が国にも成長してきた若年の中間層、富裕層が2台目、3台目の車を購入するときに、スズキから他社ブランドに「アップグレード」されてしまうのを防ぐために、マルチスズキはこうした新世代を満足させることができる高級感を持つ新車種の投入が必要と判断した。

 

高級車専門販売店「Nexa」を今年度末までに100店舗体制とすることは、マルチスズキが現在国内666都市に有する販売店約1,000店舗と系列サービスショップ約3,000か所のネットワークの一部を流用すればさほど難しいことではない。

 

2014年度の販売台数が過去最高の1292,415台を記録、純利益も対前年度比33.4%増の大幅増益を達成したマルチスズキにとって、今が新市場開拓に乗り出す絶好のタイミングと言えるだろう。

 

しかし大衆車の圧倒的シェアを誇るスズキのブランドにプレミアムカーというもう一つの新しい顔を消費者に定着させるのは容易ではない。今後投入される新車種とその販売戦略が注目されるところだ。「S-Cross」は8月第1週に主要30都市で発売される。

 

SOURCEThe Times of Indiatrans by shimamori 」)


			
		

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