インド

NTTドコモの撤退でインド中銀がパートナー「タタ」の株買戻し案を却下、外国企業に動揺広がる


≪地元メディアの反応≫

インド最大級の財閥「Tata Group」の持ち株会社「Tata Sonsタタ・サンズ)」は324日、タタ・サンズと日本最大のモバイル通信企業「NTT DOCOMONTTドコモ)」との合弁通信企業「Tata Teleservices Ltd.TTSLタタ・テレサービシズ)」のNTTドコモ保有株をタタ・サンズが買取る案をインドの中央銀行である「The Reserve Bank of Indiaインド準備銀行)」から却下されたことを公表した。

 

インド 海外進出

 

インド中央銀行は、タタがドコモ保有の合弁持ち株26.5%を11億ドルで取得する計画について、「インドの外国為替管理法に準じていない株式取得案は承認できない。いかなる株式取引も現在の公正価値で行うべき」との見解を示し、申請を却下したということだ。

 

NTTドコモは2009年からTTSLに資本参加、全株式の26.5%に相当する株式を総額2,667億円で購入しているが、損失が続いたため昨年4月、インド市場からの撤退を表明、株主間協定に基づいて、タタ・サンズに対しNTT保有株式の売却仲介義務の履行を求めた。

 

株主間協定はNTTドコモが保有するTTSL全株式を売却する場合、タタ・サンズ側が期限内に取得価格の50%(総額約725億ルピー、約1,254億円)又は公正価値のいずれか高い価格で買取る相手を仲介しなければならない、と定められている。

 

我が国では国内企業が外国企業から出資を受け合弁事業を設立する場合、外国企業側の損失リスクを抑えるために同様の協定を定めている例は特に保険関連企業に多い。今回のインド中央銀行の判断でそうした企業は大きなショックを受けているようだ。

 

NTTドコモの場合、協定に定めた「取得価格の50%」ではなく市場価格による買戻しに変更されると、受け取る金額は60%減少し、投資額の2割しか回収できないことになる。

 

NTTドコモはすでに13日、昨年12月の期限になっても売却仲介義務を履行できなかった「タタ・サンズ」を被申立人として、ロンドン国際仲裁裁判所(London Court of International Arbitration)に義務履行を求める仲裁申立を行っているため、問題解決は今後国際仲裁裁判所に委ねられることになった。

 

売却価格の事前設定を否定した今回の中央銀行の判断は、売却義務を負う側のインド国内企業にとって、パートナーの外国企業に協定再考を迫る良い口実ができたとも言える。我が国の投資家の株式投資を促す効果もあるかもしれない。しかし一方では、投資リスクが増した外国企業、特に保険関連企業の動揺を招き、今後外国企業の投資を冷え込ませる要因となる懸念も否定できない。

 

SOURCEBusiness Standardtrans by shimamori 」)

 


			
		

特集記事

nophoto
nophoto
nophoto